派閥を選ぶとき、こんなふうに思ったことはありませんか?
「守りを固めてジリジリ戦うより、とにかく動き回って盤面をかき回したい!取って、捨てて、また取って──そんな自由きままな遊び方がしたい」
そんなあなたに、サールの一族はぴったりかもしれません。
この派閥のコンセプトはひとことで言えば、流浪。
惑星を奪っては手放し、また次の惑星へ──工場ごと動き続け、進んだ先で軍をどんどん生産する。序盤は地味でも、気づけば誰にも止められない生産力で盤面を覆っている、そんな派閥です。
目次
サールの一族はどんな種族?

サールは、宇宙をもっとも早く旅した種族とも言われる古い民です。けれど彼らの歴史は決して華々しいものではありませんでした。広く銀河じゅうに散らばって暮らしていたため、大帝国ラザックスにすら認識されず、「忘れられし種族」と呼ばれることさえあったのです。
多くの惑星で、サールはスラムや下層に押し込められ、他の文明が吐き出す屑鉄をかき集めて細々と生きていました。不潔で愚鈍だと蔑まれ、まともな医療も受けられず、その暮らしは貧しく短命だった──そんな悲しい過去を背負った民です。
「おお、リシス!宿命が疲れた背に刻まれし者よ。見ゆるは汝の影ばかり」──リシスの詩
転機をもたらしたのは、ラーグ・ギャヴァールという一人のサール人でした。屑鉄貨物船の船長だった彼は、運搬の合間に希望を歌う詩や物語をつづり、立ち寄る先々でサールの民に「希望の船長」と慕われるようになります。やがて彼の船は宇宙で遭難し行方知れずとなりますが、その数年後、全サール人の心に「星の彼方へ向かえ」という不思議な啓示=“思し召し”が湧き起こったのです。
“思し召し”に導かれた彼らがたどり着いたのは、ジョルンの小惑星群。実はそこには、遭難したラーグの船が流れ着いていました。銀河中から集ったサールは、この果てしない岩塊の海に眠る鉱石や水を見つけ、ついに自分たちの真の故郷を築きあげます。ラーグ自身は洞窟の奥へ姿を消し、以後「星々の間におわす者」として祀られました。
生命を与えてくれる周囲の岩塊は、古の惑星サールの名残──死してなお第二の生命がある。そう信じる彼らは、流浪の果てに故郷と誇りを取り戻したのです。この「動き続ける民」というアイデンティティは、そのままゲーム上の強さに直結しています。
派閥データ
母星
| 惑星名 | 経済力 | 影響力 |
|---|---|---|
| リシス II | 1 | 0 |
| ラーグ | 2 | 1 |
サールの母星は、ジョルン惑星群にある二つの小惑星がモチーフになっています。見てのとおり、経済力も影響力もかなり控えめ。でもサールにとっては、これがむしろ好都合なのです(理由は「派閥能力」で説明します)。
特産物は3個と普通です。
初期テクノロジー
「反質量デフレクター」(青/前提条件なし)
効果は2つ。ひとつは、自分の宇宙艦艇が本来は入れない小惑星群に停止したり通過したりできるようになること。もうひとつは、自分のユニットを狙う相手の〈宙砲〉の出目が−1される、という守りの効果です。
母星が小惑星という設定にぴったりの技術です。厳密には母星系そのものはゲーム上の「小惑星群」ではありませんが、岩塊に暮らす民として、この技術が最初から与えられていると考えると納得です。
初期ユニット

- 輸送艦 × 2
- 巡航艦 × 1
- 戦闘艇 × 2
- 歩兵 × 4
- 宇宙工廠 × 1
輸送艦2つと歩兵4体は、初手から一気に陣地を広げていくのに最高のスタートです。巡航艦は近隣とのつながりを作りに送り出せますし、序盤に必要なものはひととおり揃っています。
強いて言えば対宙要塞(PDS)がないのは少し寂しいところ。でもサールは母星を守ることをあまり重視しない派閥なので、これも「動き続ける民」というストーリーに合った設定になっています。
派閥能力
屑漁り:惑星の支配権を得た直後に、交易品を1個得る。
流浪:母星を持っていなくても公開目的を得点できる。
「屑漁り」は、新しい惑星を取るたびにお金が入る、というシンプルながら強力な能力です。
何よりも「流浪」がとにかく強い!サールが「最強派閥トップ5」に数えられる理由の一つがここにあります。通常、公開目的を得点するには自分の母星を自分で持っている必要があります。そのため、普通のゲームでは、勝ちそうなプレイヤーがいたら皆でその母星を攻めて奪い、目的の得点を止められます。でもサールにはそれが効きません。しかもサールの母星はもともと経済力も影響力も低いので、奪われてもダメージはごくわずか。「母星を気にせず、どんどん盤面を突き進める」という、他にない自由を持った派閥なのです。
派閥固有ユニット
浮遊工場 I(宙軍工廠)
サール最大の個性がこれ。ふつうの宙軍工廠は惑星の上に固定されて動けませんが、サールの工廠は宇宙空間に配置され、宇宙艦のように自分で動き回れるのです。
| 建造値 | 移動力 | 艦載数 |
|---|---|---|
| 5 | 1 | 4 |
基本版で宙軍工廠を動かせるのはサールだけ。何より旨味なのは、戦術アクションで移動した後、その先の投入ステップで生産ができること。アルボレク種の歩兵と少し似ていますが、大きな違いは、浮遊工場そのものが移動力と艦載数を持っている点です。極端に言えば、他の宇宙艦をつけずに工場単体で動き、動いた先でユニットを生産できてしまう。これがサールを最強格たらしめている理由のひとつです。
ただし、注意点が2つあります。
① 浮遊工場は「宇宙艦」ではない。 「宇宙艦であるかのように」動かせますが、あくまで工廠です。目的カードに「〜〜に宇宙艦が◯体ある」という条件のものがありますが、浮遊工場はその宇宙艦としてカウントされません。
② 封鎖されると一瞬で消える。 「封鎖」とは、その星系に自分の宇宙艦がなく、他プレイヤーの宇宙艦だけがある状態のこと。この状態になると浮遊工場は撤退のチャンスもなく破壊されます。普通の宙軍工廠は惑星の上にあるので封鎖されても宇宙艦が生産できなくなるだけですが、サールは工場そのものを失う大ダメージ。だから工場を単体で放置するのは基本NG。動かすときは必ず戦闘艇をたくさん載せて、いつも守りがある状態にしておきましょう(宙戦で1ラウンド生き残れば撤退できます)。
派閥専用技術
浮遊工場 II(前提条件:黄×2)
| 建造値 | 移動力 | 艦載数 |
|---|---|---|
| 7 | 2 | 5 |
特殊能力は「浮遊工場 I」と同じ。建造値も艦載数も上がりますが、何より大きいのは移動力が2になること。これがあると他プレイヤーへの襲撃がぐっとやりやすくなります。後述する「輸送艦 II」と大量の戦闘艇と組み合わせれば、サールに怖いものはなくなります。
カオス・マッピング(前提条件:青×1)
効果は2つ。ひとつは、自分の宇宙艦艇がいる小惑星群を、他プレイヤーが起動できなくなること。もうひとつは、実行フェイズ中、自分の手番の開始時に、〈建造〉能力を持つ自分のユニットがいる星系1つで、1ユニットを生産してよいこと。
前提条件が青1つだけと軽く、しかもサールは初期技術「反質量デフレクター」ですでに青を持っているので、いつでも研究できます。ゲームデザイナーが「最初は迷わずこれを取ってね」と言っているようなものです。
2つの効果はどちらも強力です。まず「小惑星群を起動されない」効果のおかげで、そこにいるユニットは基本的に壊されません。工廠を単体で置いておいても安全ですし、「反質量デフレクター」「光/波動デフレクター」の両方を持たない相手はその星系を通過すらできないので、邪魔な壁を作ることにもなります。
もうひとつの「手番開始時の生産」は、通常の投入ステップ以外にユニットを作るタイミングを生む効果で、使い方次第でかなり化けます(詳しくは後述)。
⚠️ 重要な注意点:カオス・マッピングは〈建造〉能力を持つユニットに生産を「許す」のであって、〈建造〉そのものを行っているわけではありません。だから「サルウィーン工具」の割引が効きません。サルウィーン工具はあくまで〈建造〉への割引で、「生産」への割引ではないのです。上級者でもよく間違えるので、しっかり覚えておきましょう。
旗艦
「サン・オブ・ラーグ/ラーグの子」
| コスト | 戦闘能力 | 移動力 | 艦載数 |
|---|---|---|---|
| 8 | 5 × 2 | 1 | 3 |
特殊能力:〈耐久〉、〈対艇斉射〉6 × 4
正直に言うと、イマイチな旗艦です。戦闘能力もコストも弩級艦2隻と同じですが、耐えられる命中数は〈耐久〉込みで2発。弩級艦2隻なら4発耐えられるので、その半分しかありません。〈対艇斉射〉はあるに越したことはないものの、その有無で勝敗が決まる宙戦はそう多くないでしょう。
まぁサールは他の要素で十分すぎるほど強い派閥なので、旗艦でバランスをとっているのだと思います。急いで建てる必要はなく、終盤に資源がどうしても余ったときに作るくらいの気持ちで十分です。
誓約書カード:ラーグの思し召し
このカードを渡された相手は、いずれかの惑星にユニットを降下させた後、その惑星にいるサールの全地上部隊を取り除き、サールの別の支配惑星へ移す、というもの。使い終わったらカードはサールに戻ります。
正直、この誓約書が活躍する場面はあまり多くありません。惑星を平和に明け渡したいときに使えなくはないのですが、そもそも惑星を簡単に手放したい場面は少ないもの。しかも、相手が降下する瞬間に渡してその場で使ってもらうことができるので、他派閥のように事前に売ったり交渉材料にしたりする使い方もあまりしません。使いどころは「サールが少しやんちゃをした相手へのお詫び」くらいに考えておくとよいでしょう(この使い方は後述します)。
基本的なプレイスタイル

サールの基本は、今持っている惑星にしがみつかず、どんどん他プレイヤーの領域に侵食して新しい惑星を奪い、また次へ進む、これを延々と繰り返すことです。
「屑漁り」のおかげで、新しい惑星を取るたびに交易品が入ります。つまりサールは、同じ惑星を持ち続けるより、取っては捨てて進み続けるほうがお金が入る派閥。このとき浮遊工場を一緒に連れて動くのが最大の鍵です。動くたびにユニットを生産でき、雪だるま式にどんどん大きくなって、やがて誰にも止められなくなります。
サールは戦闘ユニットや戦闘系の能力が特別強いわけではありません。とにかく生産を止めず、雪だるま式に膨らんでいくから恐れられる──それがこの派閥の本質です。
派閥の良さを引き出す3つのポイント
① どんどん突き進み、新しい惑星を取り続ける
サールは流浪の民。そのコンセプトのまま遊ぶのが一番強い遊び方です。他派閥が自分の惑星を守ろうとするのに対し、サールは動き続けることが大事。
特に、相手が守りを固める前にその惑星を奪い、またすぐ去って返してあげる──こういうプレイが刺さります。嫌がられがちな動きですが、ストーリーどおり「気にせず自分たちのために生きる」と割り切って遊ぶほうが断然おもしろい派閥です。
惑星を返すとき、わざわざ戦闘したくなければ誓約書「ラーグの思し召し」を渡すのが賢い手。戦闘なしで歩兵を全部よそへ動かしてあげられるので、相手は歩兵1体持ってくるだけで惑星を取り返せます。奪うという“少し悪いこと”を、半分お詫びとして平和に帳消しにできるわけです。だからこの誓約書でお金をもらうことは少なく、むしろ相手の機嫌を損ねないために使うことが多いカードなのです。
ちょっとしたコツ:新しく取る惑星は消耗状態で手に入ります。手放して返す惑星も、どうせなら自分で使って消耗させてから返すのがお得。守りが手薄になった惑星は、ラウンド中に優先して使ってしまいましょう。技術用の専門性を持つ惑星が取れそうなときは、戦略カード《和平》を選んでおくのも一手です(取った惑星を《和平》で表に戻し、《研究》のタイミングで専門性を使って技術を早く取る、という合わせ技ができます)。
そして惑星を取るときは、闇雲にではなく目的を持って。技術専門性を持つ惑星、目的カードの得点に必要な惑星などを狙いましょう。迷ったら、メカトール・レックスの周りを旋回してその周辺惑星を取るのが鉄板。多くのプレイヤーはどこかでメカトールを狙い、その隣に宙軍工廠を建てて生産しようとします。サールはその惑星を取っては返すことで相手の生産を妨害でき、しかも自分は好機に《覇業》でメカトールへ飛び込んで得点する準備までできてしまうのです。
② 技術は「輸送艦 II」と「浮遊工場 II」を目指す
サールが目指すべきは、輸送艦と浮遊工場のアップグレードです。浮遊工場はたくさん生産できる反面、艦載数がすぐ埋まります。戦闘艇や歩兵を大量に作って次の惑星へ侵略するには、それを運ぶ輸送艦が欠かせません。
輸送艦を改良すると1隻あたりの艦載数が6になり、輸送艦2つ+浮遊工場で合計16の艦載数に。ここまでくると、弩級艦や巡航艦のような戦闘艦がなくても、戦闘艇の数で相手の攻撃に耐え宙戦に勝てます。輸送艦の前提条件は青2つですが、サールは初期技術で青を1つ持ち、最初に取る「カオス・マッピング」も青。だからラウンド2には輸送艦をアップグレードできるのが強みです。
次に浮遊工場を改良する狙いは、移動力を上げること。工場は初期状態だと移動力1ですが、輸送艦が移動力2になったら工場も2にしたくなります。前提条件は黄2つ。サールは大量に生産するので「サルウィーン工具」を早めに取ると恩恵大です。ただ、次の黄色技術「重力レーザー・システム」は宙砲強化で、宙砲をあまり建てないサールには不要。できれば黄色の専門性を持つ惑星を見つけて、黄色を1個飛ばして浮遊工場IIまで行けるとベストです。
まとめると、理想の研究ルートはこう:「サルウィーン工具」&「カオス・マッピング」→「輸送艦 II」→「浮遊工場 II」(黄色の専門性惑星が手に入ればもっと早くてOK)。
③ カオス・マッピングを“計画的に”使う
カオス・マッピングはサールの生命線ですが、使い方で強みが出たり出なかったりする、ちょっと難しい技術です。
前述のとおり、この技術での生産には「サルウィーン工具」の割引が効きません。だから本来なら、浮遊工場を動かした後に生産するほうがお得。ただしカオス・マッピングを使えば、今いる星系に何か宇宙艦を作ってから工場を前へ動かせる──つまり「置き土産をしてから進む」動きができます。サールはどうせ全部の惑星を守り続けたいわけではないので、宇宙艦を置く必要がない星系もあるはず。「今回は生産する/しない」を毎回計画的に決めるのがコツです。
もうひとつの「小惑星群を起動されない」効果。これを回避する手段は相手にないので、本当に誰も入れなくなります。一見「ここに隠れていれば安全」と思いがちですが、サールの強みはあくまで動き続けること。上級者は、小惑星群に安い駆逐艦などをポンと置いて相手への「壁」を作ることもあります。宇宙を渡り歩く宙軍工廠は、惑星を取れる空間でどんどん回していくほうが強かったりします。
勝ち方の方向性

- 第1ラウンドから3星系に陣地を広げる。 母星系は捨ててもOK。
- 第2ラウンド以降も遠慮なく拡大し続ける。 使った惑星は、必要に応じて誓約書で平和に返す。
- 研究は「サルウィーン工具」「カオス・マッピング」「輸送艦 II」「浮遊工場 II」を優先。
- 艦隊は輸送艦+戦闘艇・歩兵の山を最優先。 戦闘力の高い宇宙艦は余裕ができてから。小惑星群には駆逐艦などを置いておく。
- 中盤以降は2つの浮遊工場を一緒にメカトールの周りで旋回させる。 相手の生産を妨害しつつ、自分が《覇業》を取ったタイミングでメカトールへ飛び込む準備をする。
補足すると、宙軍工廠は3つあるので3方向へ送り出すこともできますが、2つを一緒に動かすのも強力。移動先で合計10ユニットの生産が可能になり、艦載数も8。《臨戦》でこの2つを2回動かせば、なんと1ラウンドで合計20ユニットもの生産ができます。この生産力に敵う派閥は他にいません。
初心者向けアドバイス
- 屑漁りの交易品をもらい忘れない! 惑星を取った“直後”に1個。これは経験者でも本当によく忘れる能力です。
- カオス・マッピングの生産には「サルウィーン工具」の割引が効かない。 上級者でも間違えるポイントなので注意。
- 浮遊工場は宙戦を1ラウンド生き残らないと撤退できない。 動かすときは必ず戦闘艇をたくさん載せて、守りを切らさないように。
ひとこと評価
奪って、捨てて、また奪う。進むほどに増えていく流浪の民!
| 評価軸 | 評価 |
|---|---|
| 初心者おすすめ度 | ★★★☆☆ |
| プレイの複雑さ | ★★★☆☆ |
| 攻撃性 | ★★★★★ |
| 個性的か | ★★★★☆ |
サールは、TIの中でも「動き続ける気持ちよさ」と「圧倒的な生産力」を味わえる派閥です。腰を据えて自分の領土を守り固めたい人や、強力な戦闘艦でガチンコの殴り合いをしたい人には、少し肌に合わないかもしれません。
でも、盤面をかき回しながら惑星を奪っては手放し、工場ごと進んで雪だるま式に膨れ上がっていく──あの「気づいたら止まらなくなっている」感覚が好きな人には、これ以上ないほどハマる派閥だと思います。
もしこの記事で間違っている情報や、「ここはこうじゃない?」という気づきがあれば、ぜひコメントで教えてください。みなさんの知識や経験も取り入れながら、一緒により良い記事にしていきたいと思っています!







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