派閥を選ぶとき、こんなふうに思ったことはありませんか?
「目的を達成する方法が一つしかない派閥って、どんなプレイ感なんだろう?勝てなくてもいいから、一度は極端な戦略で全力を尽くしてみたい。」
そんなあなたに、ウィンヌ族はぴったりかもしれません。
この派閥のコンセプトはひとことで言えば、執念。
「メカトール・レックス」──銀河の玉座たるその惑星を最速で占領し、そのまま守り続ける。ゲーム開始からゴールまで、やることはそれだけです。他の派閥のように「この局面では別の戦略に切り替えよう」という発想がほとんどなく、一本の細い道を全力疾走するような派閥です。
目次
ウィンヌ族はどんな種族?

ウィンヌ族は、ラザックス帝国──かつて銀河を統べた偉大な文明──に最初に組み込まれた種族です。ラザックスに保護されることで絶滅寸前の状態から救われたウィンヌは、やがてその官僚制度の要として帝国を支える存在になっていきます。
帝国の中枢がメカトール・レックスへ移ると、ウィンヌ星系の多くもそこへ移住しました。何世代もの時が過ぎ、彼ら「ウィンヌ人」はメカトールを故郷と思い、ウィンヌ星系の同胞たちとの絆も次第に薄れていきました。その間、ウィンヌ星系に残った一族──「ウィンヌ族」──は、ラザックスが滅んだ後も静かにその文化と知識を守り続けます。大惨劇によってラザックスが銀河から消えてもなお、彼らだけがその遺産を継いでいたのです。
新たな時代を迎えた今、ウィンヌ族は確信しています──自分たちこそがラザックスの正統な後継者である、と。
「我々は、正当に権利があるものを取り戻すだけだ。我々より前に到来していた者どもに、引導を渡すのだ。貴様らの裏切りを忘れることはない」──ムアド・ディ・ファルーク
ただ、外側から見た者には別の側面も映ります。ラザックスの文化を守り続ける中で、ウィンヌ族の中にウィンヌ人本来の性格──野心、自尊心、そして不寛容──が戻ってきたと言う者もいるのです。
派閥データ
母星
| 惑星名 | 経済力 | 影響力 |
|---|---|---|
| ウィンヌ | 3 | 4 |
経済力より影響力の方が高いのがポイントで、これが後述する派閥技術「独占交易政策」と相性よく噛み合います。
特産物は3個で、標準的です。
初期テクノロジー
ウィンヌ族の最大の特徴の一つが、初期テクノロジーを自分で選べること。基本版の全派閥の中でこれができるのはウィンヌ族だけです。前提条件のないテクノロジー4種から1つを選べます:
- 反質量デフレクター(青):自分の艦隊が小惑星群を通過・停止できるようになり、また相手の宙砲の命中値が自分のユニットに対して−1される
- サルウィーン工具(黄):〈建造〉の際、生産するユニットの合計コストを1だけ減らせる
- プラズマ裂弾(赤):爆撃もしくは宙砲を使う際、1ユニット分の攻撃に戦闘ダイスを1個追加できる
- 神経励起装置(緑):毎ラウンドの調整フェイズに、アクションカードを通常の1枚ではなく2枚引けるようになる
実際に選ぶのはほぼ青か黄色の2択です。第1ラウンドでメカトール・レックスに一番乗りできそうな盤面であれば青を、そうでなければ基本的に黄色を選ぶのがいいでしょう。赤や緑を選ぶ状況はほとんど訪れません。
初期ユニット

- 輸送艦 ×1
- 巡航艦 ×1
- 戦闘艇 ×2(※日本語版の派閥シートには「×1」と記載されていますが、これは誤記です)
- 歩兵 ×2
- 宇宙工廠 ×1
- 対宙要塞 ×1
全派閥の中でも初期ユニット数は特に少ないです。宇宙艦が戦闘艇以外に輸送艦と巡航艦の2隻しかなく、他の多くの派閥が3隻を持っていることを考えると、出だしから戦力的にかなり苦しい状況です。唯一の輸送艦はメカトール行きのためにとても貴重なので、戦闘艇を全部乗せて一緒に動かすのが基本です。
派閥能力
血のつながり──メカトール・レックスには「庇護者トークン」が置かれており、それを取り除くには通常影響力6の支払いが必要です。ウィンヌ族はこのコストを全額免除できます。他の派閥が影響力を貯めている間に、ウィンヌ族はただ到着するだけでメカトールを確保できるのです。これがウィンヌ族の根幹となる強みです。
奪還──ウィンヌ族が戦術アクションでメカトール・レックスを制圧した直後、予備の対宙要塞と宙軍工廠をそれぞれ1基ずつ、即座にそこに配置できます。占領と同時に守りの施設が立つのは非常に強力で、このおかげで制圧した手番に〈建造〉も可能となり、即時防衛がぐっと楽になります。
派閥固有ユニット
なし。
派閥専用技術
独占交易政策(前提条件:黄×2):宙軍工廠で〈建造〉を行う際、このカードを消耗することで、自分が支配している惑星1つの経済力と影響力の値をそのアクションのみ入れ替えられます。通常は影響力6しかないメカトール・レックスを経済力6の惑星として扱えるようになるため、一気に大量のユニットを生産できます。「独占交易政策」を取得した後にメカトールを制圧するのが、このテクノロジーを最大限活かす使い方です。
ラザックス・ゲートの開閉(前提条件:青×2):メカトール・レックスを支配していない間は、自分の戦術アクション中にメカトール星系がα・βのワームホールを両方持っているものとして扱われます。また、メカトールを支配している状態でこのカードを消耗すれば、予備の歩兵を1部隊メカトールに追加できます。正直なところ、実際のゲームでほぼ選ばれることのない技術です。メカトール横に超新星や重力裂孔があって通常ルートで辿り着けない特殊な盤面向けの保険、と捉えておくのが現実的です。
旗艦:サライ・サイ・コリアン(最後の皇帝)
| コスト | 戦闘能力 | 移動力 | 艦載数 |
|---|---|---|---|
| 8 | 7 | 1 | 3 |
特殊能力:耐久。戦闘時に相手の非戦闘艇の宇宙艦の数だけ戦闘ダイスを振る。
この旗艦の面白さは、相手の艦隊規模に応じて強さが変わる点です。命中の期待値の試算はこのようになります:
- 相手艦隊1隻:期待値0.4(巡航艦と同等)
- 相手艦隊3隻:期待値1.2(他派閥の強力な旗艦と同等レベル)
- 相手艦隊4隻:期待値1.6(基本版最強の旗艦を持つジョル=ナー大学連合と同等)
- 相手艦隊6隻:期待値2.4(征星艦と同等)
- 相手艦隊7隻以上:TIに登場する最強の宇宙艦に
序盤はコスト8に対してやや物足りなさを感じる場面もありますが、ゲームが後半に差し掛かって相手が大艦隊を運用し始めると、圧倒的な存在感を放ちます。ゲーム序盤ならコスト8で弩級艦2隻を生産した方がお得なことが多いので、旗艦の優先度は高くありません。終盤に差し掛かったタイミングで改めて検討するのがいいでしょう。
誓約書カード:黙認(公式改訂版)
ウィンヌ族が戦略アクションを実行した際、このカードを持つプレイヤーは、指揮トークンを消費することなく副能力を解決できます。解決後はカードがウィンヌ族に戻ります。
コデックスによる改訂で、ウィンヌ族自身には一切デメリットのない形になりました。指揮トークンは通常、交易品3個に相当する価値があるので(「主導」での購入コストが影響力3のため)、この誓約書もそれに相当する高い値段で売り出せます。他のプレイヤーの遊撃プールにトークンが少なくなってきた終盤ほど価値が増します。積極的に売って経済力の補填に使いましょう。
なお、自分が「主導」を選んだラウンドは、他のプレイヤーが副能力を解決するのにそもそも指揮トークンを必要としないため、そのラウンドは誓約書を使ってもらえません。それ以外の戦略カードであればどれも使ってもらえるので、それほど気にする必要はありません。
基本的なプレイスタイル

ウィンヌ族のゲームプランはシンプルすぎるほどシンプルです──メカトール・レックスにいち早く到達し、占領し、そのまま守り続ける。派閥の能力も技術も、すべてこの一点に向いています。
「血のつながり」があるので、他の派閥が影響力6を貯めないとメカトールに入れないところを、ウィンヌ族はタダで入れます。「奪還」があるので、占領した瞬間に宙軍工廠と対宙要塞が立って即座に守りを固められます。「独占交易政策」を研究していれば、占領したその瞬間からメカトールの影響力を経済力に転換して大量生産が可能になります。全てが「まずメカトールを取れ」に向いている派閥です。
ただし、この一本道戦略には大きな弱点があります。アルボレク種やソル連邦のような派閥は、メカトールを守る力が母星や他の惑星にも波及しますが、ウィンヌ族の強みはメカトール専用です。メカトールを守ろうと力を注ぐあまり母星が手薄になり、公開目的の達成条件を失うリスクが常にあります。経験者はこのことを知っているので、「ウィンヌ族がメカトールに向かっている間に母星を奪う」という対策が打ちやすいのです。
正直に言ってしまえば、基本版のみのプレイではKaitoが絶対遊びたくない派閥の筆頭です(笑)。どうしても遊ぶなら、ハンデを背負っている覚悟で、それでも銀河の玉座を目指す気概を持ってプレイするしかありません。
派閥の良さを引き出す3つのポイント
1. 初期テクノロジーの選択がゲームを決める
テクノロジー選択のタイミングは、盤面と席順が確定した後(公開目的の公開前)です。つまり、自分からメカトールまでの経路がわかってから選べます。
青(反質量デフレクター)を選ぶのは、第1ラウンドでメカトール一番乗りができそうな条件が揃っているときです。他のプレイヤーとの交渉で「通商」や「研究」のタイミングを合わせてもらい、「重力ドライブ」を入手しながらメカトールへ一気に向かうルートが見えているときが理想です。うまくいけば第2ラウンドで早くも「覇業」の1点、「主導」でメカトールを消耗して指揮トークン2つも狙えます。具体的な手順としては、主に2つのパターンがあります。
パターン1(「臨戦」経由)
- 第1の手番で「臨戦」を使い、輸送艦をメカトールに向けて1マス近付ける。
- 他プレイヤーが「通商」を使った時に、副能力を解決し、特産品を得る。
- 第2の手番で巡航艦を隣のプレイヤーに近づけ、近隣プレイヤーと特産物を交換し、交易品に変える。
- 他プレイヤーの「研究」の副能力を解決し、「重力ドライブ(前提条件:青 × 1)」を開発する。(母星の経済力3に加え、先ほど手に入れた交易品も1つ必要。)
- 輸送艦をメカトールまで2マス進め、占領する。残っている特産物で歩兵(x2)と駆逐艦(x1)を生産する。
このパターンのメリットは、母星横の惑星も確保しつつメカトールに部隊を追加できる点です。
パターン2(「研究」経由)
- 第1の手番で巡航艦を隣のプレイヤーに近づけ、取引可能な近隣関係を作る。
- 「通商」を選んだプレイヤーの第1手番に戦略アクションを実行してもらう。副能力を解決し、特産物を手に入れる。
- 近隣プレイヤーと特産物を交換し、交易品に変える。
- 交易品が3つ揃ったら、「研究」の主能力を解決し、「重力ドライブ(前提条件:青 × 1)」と「輸送艦 II(前提条件:青 × 2)」を開発する。(母星の経済力3に加え、先ほど手に入れた交易品も3つ必要。)
- 輸送艦をメカトールまで一気に進め、占領する。
このパターンのメリットは・・・特にありません(汗)資源を全て研究に回すため、追加ユニットの生産ができていないことに加え、母星横の惑星も占領できていません。デメリットが大きく、パターン1より総合的な評価は下がります。
どちらのパターンも他のプレイヤーの協力が必須で、一人でも思うように動いてくれなければ全部無意味になってしまいます。計画がうまくいかなかった場合は早めに切り替え、第2〜3ラウンドでの占領を目指す準備に移りましょう。
初期テクノロジーとして黄色(サルウィーン工具)を選ぶのは、第1ラウンドでの一番乗りが難しそうなとき、または確実に「独占交易政策」につなげたいときです。ラウンド1で黄色の技術「重力レーザー・システム(前提条件:黄 × 1)」を研究し、ラウンド2で派閥技術「独占交易政策(前提条件:黄 × 2)」を解放する流れが理想です。
2. 「独占交易政策」を取得してからメカトールを制圧する
この技術の本領は、メカトール・レックスを占領した直後から発揮されます。「独占交易政策」があれば、占領したそのターンに「奪還」で置いた宙軍工廠で生産を行う際、メカトールの影響力6を経済力6に変換できます。宇宙工廠で生産できるユニット数はその惑星の経済力+2です。そのため、経済力1のメカトールでは通常3ユニットしか生産できないところが、「独占交易政策」を使うと一気に8ユニット生産可能になります。最低限の戦力で占領してもそのターンに歩兵を大量補充できるので、占領直後の守りが劇的に強化されます。
第2ラウンドでメカトールを目指す場合は「臨戦」を取るのが最も確実です。第1アクションで輸送艦をメカトールに1マス近づけ、他のプレイヤーが「研究」をプレイしてから進撃します。「臨戦」が取れなかった場合はアクションカード《最高速力》で移動力を補えないか検討しましょう。
第2ラウンドでも間に合わなかった場合は、ラウンド3〜4での制圧を目指して戦力増強に専念します。ラウンド2でメカトール横の星系に宙軍工廠を配置し、ラウンド3で生産、ラウンド4で制圧、という流れも十分有効です。
3. 「黙認」を毎ラウンド売り続けて経済力を補う
ウィンヌ族はメカトール以外に特殊な能力がなく、純粋にユニットを増やして力をつけるしかありません。毎ラウンド誓約書「黙認」を高値で売ることで、指揮トークン相当の収入(交易品3個分)を安定的に確保できます。特に遊撃プールのトークンが枯渇気味の相手プレイヤーがいれば、それ以上の価値が出ることもあります。交渉の場でしっかりこの誓約書の価値を説明して、有利な条件で売り続けましょう。また、メカトールを制圧できていない場合も、「独占交易政策」をメカトール以外の惑星にも応用できます。母星は経済力3に対して影響力4なので、生産効率を上げる場面で活用できます。
勝ち方の方向性
- 盤面確定後の初期テクノロジー選択の時点で、第1ラウンドでのメカトール一番乗りが現実的かどうかを判断する(他プレイヤーへの事前交渉もここから始まる)
- 青を選んだ場合は、他プレイヤーと連携しながら第1ラウンドで庇護者ポイントを確実に獲得する
- 黄色を選んだ場合は、「独占交易政策」を先に手に入れてからメカトール制圧を狙う
- 毎ラウンド「黙認」を積極的に売って経済力を補い、母星と周辺惑星の守りも固める
- メカトールを守りながら公開目的・秘密目的の達成も並行して進め、10点を目指す
初心者向けアドバイス
- ウィンヌ族はメカトール占領が最優先ですが、それに執着するあまり共通目的や秘密目的の達成を忘れてしまうと勝てません。メカトールはあくまで得点ルートの一つであることを常に意識しましょう。
- この記事で解説した作戦は全て「うまくいけば」の前提付きです。他のプレイヤーに邪魔されたり、メカトールを先に固められたりした場合は、メカトールを諦める判断も大切な作戦になります。(派閥能力を何も支えずに終わってしまうのは残念ですが・・・)
- 派閥技術「ラザックス・ゲートの開閉」は、メカトールへの通常ルートに超新星や重力裂孔がある特殊な盤面向けの技術です。そういった状況でない限り、研究する優先度は低いと考えておきましょう。
- 基本版のウィンヌ族は、TI4の全派閥の中でも特に玄人向けの派閥です。他の派閥で何度かTI4を遊んでゲームの流れを把握してから挑戦するのが賢明です。
ひとこと評価
「メカトールに刻まれた執念──帝国の正統後継者、孤高の一本道。」
| 評価軸 | 評価 |
|---|---|
| 初心者おすすめ度 | ★☆☆☆☆ |
| プレイの複雑さ | ★★★★☆ |
| 攻撃性 | ★☆☆☆☆ |
| 個性的か | ★★★★★ |
ウィンヌ族は、TI4の中でも特に「ゲームを通じて一つのことだけを追い求める」体験ができる派閥です。ゲームの基本ルールをまだ把握していなかったり、他のプレイヤーのプレイスタイルを読み切れない初心者には、残念ながら向いていないと言わざるを得ません。でも、一点突破の快感が好きな人、「銀河の玉座はオレのものだ!」という気概を持って全力で突っ走りたい人には、これほど「振り切れた」体験ができる派閥は他にないかもしれません。序盤の交渉と計画が全部噛み合って第1ラウンドにメカトールを取れた時の爽快感は格別です。
もしこの記事で間違っている情報や、「ここはこうじゃない?」という気づきがあれば、ぜひコメントで教えてください。みなさんの知識や経験も取り入れながら、一緒により良い記事にしていきたいと思っています!





















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