派閥を選ぶとき、こんなふうに思ったことはありませんか?
「殴り合いで勝つより、誰も持っていない強い技術を全部そろえて、頭で勝ちたい」
そんなあなたに、ジョル=ナー大学連合はぴったりかもしれません。
この派閥のコンセプトはひとことで言えば、頭脳。
全ユニットの戦闘が1弱いという、基本版でも屈指の重いハンデを背負っています。でもその代わり、他の派閥が一生かかっても届かない技術に、ラウンド2で手が届く──足りない強さを片っ端から技術で塗りつぶしていく、そんな派閥です。
ジョル=ナー大学連合はどんな種族?

まず名前の話から。「ジョル=ナー大学連合」というのは種族名ではなく、母星であるジョルとナーという2つの惑星から来た国家の名前です。そこに暮らしている種族の名はハイラー。なので本来は「ハイラーは〜〜」と呼ぶべきなのでしょうが、コミュニティでもみんな「ジョル=ナーは〜〜」と話すので、この記事でもそれに合わせます。
ジョルとナーは、ガリアン星の周りをゆっくり回る青いサファイアのような2つの海洋惑星です。ハイラーはその海面下に文明を築いた水中呼吸生物で、柔らかい骨格の上に大きすぎる頭が乗った姿をしています。その頭の大きさがそのまま知性を表している、というわけです。統治しているのは「大学」と呼ばれる古いシステムで、トップは学長。惑星ジョルの海底深くにある都市ウン=エスチャから、種族全体を見守っています。
そして銀河の歴史において、この種族はとんでもない爪痕を残しています。今日の銀河で使われている技術装置のほとんどは、部品のひとつやふたつがジョル=ナーの研究室に起源を持つと言われるほど、銀河はハイラーの基礎技術に依存していました。だから黄昏戦争が起きてジョル=ナーが大使館を閉じ、技師を全員引き上げたとき、銀河は自分たちの機械を直せる者を失いました。数百年かけて装置が次々に壊れ、技術体系そのものが無に帰しました。暗黒の時代を引き起こしたのは、実質この派閥です。
とはいえジョル=ナー自身も無傷ではいられませんでした。技術を握っていたとはいえ、彼らも収入や保護や天然資源を周囲に依存していたからです。侵略に打って出た高位学者たちの傲慢さは報いを受け、その数年後にはドゥーラク疫で人口の4分の1と、膨大な知識を失いました。攻勢は守勢に転じ、ノ’ール軍に全領域を侵略されかけ、サウドール星系での辛勝でようやく休戦にこぎつけた──というのが暗黒の時代までの流れです。
「倫理などのために進歩を止めることはできん。科学を受け入れる腹がないのなら、今すぐウン=エスチャを出て行きたまえ」──サカバン博士
今、理事会は秘密裏にひとつの議決を採択しています。かつてラザックスが担っていた統治と進歩は、新たな統一銀河ではハイラーが担うべきである──と。友好的な顔で他文明に近づく外交官と技師たちの背後には、この使命があります。
「傲慢な頭脳派が、笑顔で近づいてきて技術を握る」。この設定は、ゲーム上の遊び方とほぼそのまま重なっています。
派閥データ
母星
| 惑星名 | 経済力 | 影響力 |
|---|---|---|
| ジョル | 1 | 2 |
| ナー | 2 | 3 |
母星が2つに分かれているのは残念なところですが、合わせて影響力が5あるのはかなり多い方です。経済力3もそこそこ。ジョル=ナーは研究のために経済力をかき集めたい派閥なので、この2枚をいつ経済力として使い、いつ影響力として使うかの判断が地味に効いてきます(このあたりは後半で詳しく解説します)。
特産物は4個と多めです。
初期テクノロジー
ジョル=ナーは技術を4つ持ってゲームを始めます。しかも赤・青・緑・黄の各色を1枚ずつ、きれいに揃えた状態でのスタートです。
| 「神経励起装置」(緑) | 毎ラウンドの調整フェイズに引けるアクションカードが、1枚から2枚に増えます。 |
| 「反質量デフレクター」(青) | 効果は2つ。自分の宇宙艦艇が小惑星群に停止したり通過したりできるようになることと、自分のユニットを狙う相手の〈宙砲〉の出目がそれぞれ−1されることです。 |
| 「サルウィーン工具」(黄) | 〈建造〉を行うとき、そこで生産する全ユニットの合計コストが1安くなります。 |
| 「プラズマ裂弾」(赤) | 〈爆撃〉または〈宙砲〉を使うとき、そのうち1ユニットが追加で戦闘ダイスを1個振れます。 |
初期技術を4つ持って始める派閥は、拡張版まで含めてもジョル=ナーだけです。ゲーム準備の時点でもう「この派閥は技術開発が戦略の中心になる」と宣言されているようなもの。
そして各色を1枚ずつ持っている、というのがとにかく効きます。まず公開目的の中には、技術開発に関するものが2つあります。「2色の技術を2枚持つ」と「ユニット改良技術を2つ持つ」です。このどちらかがゲーム序盤に出てしまうと、他の派閥にとってはかなり厳しい目的になりますが、ジョル=ナーはどの戦略カードを取ってもラウンド1で達成できてしまいます。
さらに派閥能力「分析」との相性が抜群です。「分析」を使うと、ユニット改良技術以外を研究するときに前提条件を1つ無視できます。どの色もすでに1枚持っているので、最初の《研究》からいきなり前提条件2個の技術に手が届くことになります。強力な技術が取れるだけでなく、そもそも選択肢の幅が他派閥とまったく違います。
初期ユニット

- 弩級艦 × 1
- 輸送艦 × 2
- 戦闘艇 × 1
- 歩兵 × 2
- 宙軍工廠 × 1
- 対宙要塞 × 2
正直に言うと、この初期ユニットはよくありません。艦載数を持った宇宙艦が3隻もいるのに、歩兵が2体しかいません。このままではラウンド1で追加の惑星を2つしか取れず、ラウンド2以降の経済力で他プレイヤーに遅れを取ります。第1ラウンドは何をおいても歩兵を増やすことを最優先にしましょう(具体的なやり方は後述します)。
一方で、対宙要塞を最初から2つ持っているのは珍しい部類です。厳密にはどちらの母星に何個置いてもいいのですが、大抵の場合はそれぞれの惑星に1個ずつ置くのがいいと思います。
もうひとつ地味に痛いのが、移動力2のユニットが1体もいないこと。これが序盤の交渉に効いてくるのですが、これも後述します。
派閥能力
「脆弱」 ── 自分のユニットの各戦闘判定の出目に−1。
「卓越」 ── 指揮トークンを消費して《研究》の副能力を解決するとき、代わりに主能力を解決してよい。
「分析」 ── ユニット改良技術ではない技術を研究するとき、前提条件を1つ無視してよい。
いよいよ来ました、《研究》大好き派閥!
まず「脆弱」ですが、確かにデメリットです。ただ実際に遊んでみると、思ったほどは響いてきません。もちろん油断してはいけませんが、ジョル=ナーは他の要素があまりに強いので、「脆弱」でバランスを取っている、という感じの調整です。それでも僕は、ジョル=ナーは勝ちやすさで言えば基本版トップ3に入る最強派閥だと思っています(あとの2つはサールの一族とソル連邦でしょうか)。
⚠️ 重要な注意点:「脆弱」が下げるのは戦闘判定、つまり宙戦と地上戦の戦闘ダイスだけです。〈爆撃〉〈宙砲〉〈対艇斉射〉といったユニット能力の判定には影響しません。これらはカードに印字されている数字のまま命中判定を行います。「ジョル=ナーだから全部−1」と勘違いされがちなポイントなので、しっかり押さえておきましょう。
ちなみに「脆弱」は、ジョル=ナーが海に暮らす軟体生物だという設定を反映したものです。防護服なしでは水上に上がってこられないくらいなので、そりゃあ脆弱です。
そして「卓越」と「分析」。この2つが噛み合うと、とんでもないことが起きます。「卓越」があるおかげでジョル=ナーは、他プレイヤーが《研究》を取ったときも副能力ではなく主能力を解決できます。つまり毎ラウンド、必ず2回研究できるわけです。そこに「分析」で前提条件が1つ免除されるので、ジョル=ナーはラウンド1の時点で、征星艦以外のすべての技術(ユニット改良技術を含む)に手が届きます。研究が最難関の征星艦ですら、ラウンド2で軽々と取れてしまう。これに匹敵する派閥は他にいません。
裏を返すと、選択肢が多すぎて圧倒されやすいということでもあります。毎ラウンド2回開発できると言っても、5ラウンドのゲームなら手に入る技術はせいぜい10個程度です。何をどの順で取るかは、後半の「派閥の良さを引き出す4つのポイント④ 」で詳しく解説します。
派閥固有ユニット
ありません。ジョル=ナーの個性は、盤上の駒ではなく技術カードの側にあります。
派閥専用技術
「E=レゾ・サイフォン」(前提条件:黄 × 2)
他のプレイヤーがあなたの宇宙艦艇がいる星系を起動したら、交易品を4個もらえます。
一見すると「自分の星系を起動しないでね」という抑止力のカードに見えます。でもジョル=ナーの本当の使い方は、わざと起動してもらってお金にすることです。この商売のやり方は「派閥の良さを引き出す4つのポイント③」で詳しく書きます。
抑止力として見た場合、効果が効くのは正直に言って中盤くらいまででしょう。終盤になると「交易品を渡してでも取りに行く」という状況になるので、みんな気にせず起動してきます。前半から中盤の守り、および追加収入源として考えるのがいいと思います。
「空間誘導シリンダー」(前提条件:青 × 2)
自分のユニットがいる星系を起動した直後にこのカードを消耗すると、その戦術アクションの間、その星系が「自分のユニットがいる他のすべての星系」に隣接しているものとして扱われます。
正直、うまく使われているところをあまり見ない技術です。でもハマったときはかっこいい。盤上のどこにユニットがあっても、すでに自分のユニットがいる星系ひとつへワープさせられるようなものだからです。
たとえば艦隊を盤面に散らかした後、急に母星を守らなければいけなくなったとき、一気に呼び戻せます。あるいは《臨戦》との組み合わせも面白い。《臨戦》(公式改訂版)は指揮トークンを置かずに星系を起動できるので、「空間誘導シリンダー」でやってきた艦隊をロックせずに、次の手番でもう一度戦いに行けます。《臨戦》から「艦隊兵站」で即座に2手番を回せば、相手に完全な不意打ちをかけられます。上級者向けの技術なので、使えそうな場面が見えたときに研究するくらいの気持ちでいいと思います。
旗艦 — 「J.N.S. ハイラーリム」
| コスト | 戦闘能力 | 移動力 | 艦載数 |
|---|---|---|---|
| 8 | 6 × 2 | 1 | 3 |
特殊能力:〈耐久〉、この宇宙艦の戦闘判定で修正前の出目が9か10だった戦闘ダイス1個につき、追加で命中を2つ発生させる
※戦闘能力の「6 × 2」は「脆弱」込みで実質 7 × 2 になります。
言ってしまいます。命中の期待値だけで見れば、これがゲーム最強の旗艦です!
一見すると6×2(実質7×2)で微妙に思えます。でも修正前の出目が9か10のとき、そのダイス1個から追加で命中が2つ生まれるので、旗艦1隻だけで最大6つの命中を叩き出しうる計算になります。攻めにも守りにもかなりの脅威になります。できるだけ早く、積極的に建てていきたい1隻だと思います。
誓約書カード:研究の契約
ジョル=ナーのプレイヤーが派閥技術ではない技術を開発した直後、その相手も同じ技術を「獲得」できます。使い終わったらカードはジョル=ナーに戻ります。
これがとんでもないツワモノで、毎ラウンド高値で売れる誓約書です。
TIには技術がたくさんあるのに、各プレイヤーが実際に研究できる数はかなり限られています。この誓約書があると、相手はラウンド中に研究できる技術が1つ増えます。
しかも決定的に大事なのが、相手はその技術を「開発」するのではなく「獲得」するという点です。つまり前提条件を満たしていなくても、無条件で手に入ります。派閥によっては一生届かないような高度技術がたくさんあるので、条件をすっ飛ばして取れるのは非常に美味しい話になります。
ジョル=ナー側から見ても、これは必需品です。「卓越」で毎ラウンド2回開発するには経済力6が必要ですし、「脆弱」を補うためにユニットも大量に作りたい。どうしても経済力が足りなくなる派閥なので、誓約書は毎ラウンド1〜2回、必ず売っていきましょう。売り方には正解があるので、これも後で詳しく書きます。
もう1点覚えておきたいのは、この誓約書は《研究》以外の場面でも使えるということ。議題の中には技術開発の機会を与えるものがありますし、アクションカードにも技術を開発できるものがあります。そういうチャンスが訪れるたびに「研究の契約」を売る、という意識を持っておきましょう。
基本的なプレイスタイル

ジョル=ナーの基本は、「脆弱」の弱さを技術で埋めていく、これに尽きます。そのために「卓越」は毎ラウンド必ず実行しましょう。
何を研究するかはその時の目的次第ですが、ほぼ毎回ほしくなるものもあります。代表格が歩兵と戦闘艇の改良技術です。通常8で当たる歩兵は「脆弱」のせいで9以上でしか命中せず、通常9で当たる戦闘艇にいたっては10でしか当たりません。これでは宙戦で攻撃を当てるのが難しく、地上戦も大きなハンデを抱えることになります。それぞれ改良して、ようやく他派閥と同じ土俵に立つというイメージです。
他にも、攻撃的な派閥が多い卓なら対宙要塞の改良技術で母星まわりを固めるのもありですし、他派閥ではなかなか届かない「突撃砲」(前提条件:赤 × 3)を取って宙戦開始前に相手の宇宙艦を1隻沈められるようにするのもあり。宙軍工廠を改良して一度に建造できるユニット数を増やすのもありです。
つまりジョル=ナーは、「今この盤面で自分に一番足りていないものは何か」を毎ラウンド言語化して、それを技術で買いに行く派閥です。序盤は明らかに弱い。でも中盤あたりで「あれ、ジョル=ナー全然弱くないぞ」と周りが気づいた頃には、もう手遅れになっている──そんなカーブを描きます。
僕自身、人生で初めて遊んだTIは2戦続けてジョル=ナーだったのですが、選択肢が多すぎて何を研究すべきか途方に暮れました。この見極めがうまくいったとき、ジョル=ナーは「脆弱」のハンデを忘れてしまうくらい強い派閥に生まれ変わります。
派閥の良さを引き出す4つのポイント
① 初期ユニットの弱点を補う
ジョル=ナーは技術が増えれば最強クラスですが、初期ユニットだけで見れば最弱クラスです。輸送艦2隻と弩級艦がいるのは強そうに見えて、歩兵が2体しかいません。このままではラウンド1で追加の惑星を2つしか取れず、ラウンド2以降の経済力に響きます。第1ラウンドの最優先事項は、歩兵を増やして少しでも多く惑星を取ることです。
これを一番簡単に実行できるのが、他プレイヤーの《臨戦》の副能力に乗ることです。ここで「サルウィーン工具」が効いてきます。母星ジョル(経済力1)を消費するだけで経済力2分の生産ができるので、母星系の建造ユニット数の上限ぴったり、歩兵4体を作れます。改良された《臨戦》はほぼ間違いなく第1ラウンドで使われるので、これを頼りにするのがいいでしょう。
もうひとつの弱点が、移動力2のユニットがいないことです。本来なら《研究》がプレイされる前に経済力6を集めて、主能力で技術を2つ開発できる状態にしておきたい。でもそのためには他プレイヤーとの取引が必要で、取引をするには近隣関係にならなければいけません。移動力2のユニットがあれば自分から誰かの隣まで行けますが、ジョル=ナーにはそれができません。
なので、相手に近寄ってきてもらう必要があります。とはいえ、どのプレイヤーもジョル=ナーの誓約書「研究の契約」には興味津々です。それを交渉材料にして「こっちに来てくれたら契約を売るよ」と持ちかけ、ついでに交易品も引き出して、ラウンド1から経済力を積み上げていきましょう。
② 誓約書「研究の契約」を最高値で売る
ジョル=ナーはとにかく経済力が要る派閥です。その主な調達手段が、この誓約書です。「研究の契約」は毎ラウンド1〜2回売れるので、これを最大の高値で売ることをジョル=ナー専用のミニゲームだと思って、常に考えるようにしましょう。
まず、売る順番にはルールがあります。1回目に売る相手は誰でもかまいません。でも2回目に売る相手はかなり限られます。
理由はこうです。他プレイヤーが《研究》をプレイした場合、その手番中に自分が取引できる相手はその手番プレイヤーだけになります。しかも各手番中に1人のプレイヤーと実行できる取引は1回だけです。つまり、手番プレイヤーに「研究の契約」を2回売ることはできませんし、《研究》がプレイされた後にその人以外へ渡すこともできません。
したがって正しい流れはこうなります。《研究》がプレイされる前に、誰かに「研究の契約」を売っておく。その人に1個目の技術開発のタイミングで使ってもらい、カードが戻ってきたら、2個目を開発する前に手番プレイヤーへ売る。そして2個目の開発と同時に使ってもらう──これで1ラウンドに2回売れます。
例外として、ジョル=ナー自身が《研究》をプレイする場合は誰にでも売れます。自分の手番なので取引相手を選べるからです。こちらは単純に楽です。
「卓越」があるのに自分で《研究》を取る意味があるのか、と思うかもしれません。あります。まず、そもそも誰も《研究》を取らなければ、ジョル=ナーも技術開発できず、誓約書での追加収入もゼロになります。計画フェイズで誰も《研究》を選びそうにないなら、自分で取ってしまいましょう。また「卓越」は主能力を解決させてくれますが、それでも指揮トークンの支払いは必要です。自分でプレイすればトークンを払わずに主能力が解決できるので、その分お得になります。
値段の目安は交易品4つ分と思っておくといいでしょう。他プレイヤーが《研究》の副能力で支払う経済力4が基準になるからです。ただし近隣関係にある人が1人しかいない場合は、値下げ交渉に応じる必要が出てくるかもしれません。特に《研究》をプレイしたプレイヤーへ2回目に売るときは、そもそも売れる相手がその人しかいないので、4つを出してくれないこともあります。
とはいえ、こちらは主能力を解決するための経済力6さえ集まっていれば十分です。すでに足りている状況なら、強気に出て大丈夫。売れなかったところで自分に損害はないので、「この値段で買わないなら売りません」と言い放ってしまってもいいと思います。
③「E=レゾ・サイフォン」で第二の収入源をつくる
誓約書だけでは足りない、あるいは相手がその場で交易品4つを出せない──そんなときに便利なのが派閥技術「E=レゾ・サイフォン」です。
相手は、ジョル=ナーの宇宙艦艇がいる星系を起動するだけでいい。艦を動かす必要も、戦う必要もありません。起動して手番終了でOKです。それだけでジョル=ナーに交易品が4個入ります。相手は指揮トークンを1個消費しますが、指揮トークンの価値は交易品3個分なので、実は相手も損をしていません。
ここから一歩進めると、《研究》とはまったく無関係に商売ができます。たとえば他プレイヤーにこう持ちかけます。「『E=レゾ・サイフォン』を発動させるためだけに私の星系を起動してくれたら、入ってくる交易品4つのうち3つをあなたに渡します」。
相手は指揮トークン1個(交易品3個相当)を払って交易品3個を得るので、実質トントン。しかもトークンが余っていれば完全に得です。そしてジョル=ナーには手数料として交易品が1つ残ります。戦闘も何も起きません。
この取引を特に喜ぶのは、ネクロウィルスのように指揮トークンが余るほど手に入る派閥や、影響力過多の陣地を持っていて経済力に困っているプレイヤーです。彼らにとっては、間接的に陣地の影響力を交易品=経済力に変換できるおいしい話になります。
「傲慢な学者が、笑顔で近づいてきて手数料を抜いていく」。設定どおりの遊び方ができる、僕のいちばん好きな部分です。
④ 技術の価値を見極めて研究する

ここがジョル=ナーの本丸です。初心者が手に取って適当に遊んでも普通に楽しい派閥ですが、経験者が遊ぶと基本版最強級になります。その差はほぼすべて、「いつ何を研究したか」から生まれます。
考え方の基本は、「脆弱」で弱くなっている部分から順に埋めることです。
宙戦はユニットの数で補いましょう。そのためには輸送艦を改良して戦闘艇をたくさん運べるようにするのが手です。戦闘艇そのものも、そのままでは命中の期待値が10分の1しかないので、改良しておきたいところ。
交渉がうまくいって経済力に余裕ができるなら、征星艦を開発してしまうのもありです。艦載数が多いうえに、ユニット自体がTI最強。そもそも開発しないと生産すらできないユニットで、手が届く派閥がほとんど存在しない中、ジョル=ナーはやろうと思えばラウンド2で開発できてしまいます。
ただし、必ず取るべきかというとそうでもありません。征星艦は生産に経済力12もかかる高級品です。中盤以降、資金繰りの目処が立った時点で検討するくらいがちょうどいいと思います。
そしてもうひとつ、征星艦には大きな落とし穴があります。「研究の契約」を誰かに渡していたら、そのプレイヤーも征星艦を獲得してしまいます。相手は前提条件を満たしていなくても手に入るので、これは大惨事になりかねません。征星艦を開発するときは他プレイヤーに内緒にして、「研究の契約」が自分の手元に戻ってきたタイミングで研究するのがベストです。
陸戦は歩兵の改良が基本です。他にも「マジェン防衛グリッド」や「細菌兵器 X-89」など、地上戦を有利にする技術を押さえておくといいでしょう。《築造》で対宙要塞をたくさん建てておき、対宙要塞の改良技術で隣接する星系にも撃ち込めるようにするのも強力です。
💡 裏技:「マジェン防衛グリッド」(公式改訂版)を持っていると、自分の施設がある星系が起動されるたびに歩兵が増えます。「E=レゾ・サイフォン」の取引で相手に起動してもらうとき、わざと自分の施設がある星系(母星系など)を選んでもらえば、交易品と歩兵が同時に手に入って一石二鳥です。
そして最後に、いちばん大事な視点を。中盤以降に欲しくなる技術を序盤に取っても無駄ですし、ゲームが進むほど見返りが下がる技術を後から取るのももったいないです。「E=レゾ・サイフォン」や「超代謝」は、まさに早く取ってこそ価値が出るタイプ。逆に征星艦は、早すぎても宝の持ち腐れになります。
目的達成に必要な技術があるなら迷わずそれを。なければ、「これから起こりそうなことを予測して、それに対処できるもの」を選ぶ。この予測が初心者にはなかなか難しいのですが、ここが決まったときのジョル=ナーは本当に強いです。
勝ち方の方向性
- 第1ラウンドは《臨戦》の副能力で歩兵を作り、陣地を最大まで広げる。「サルウィーン工具」のおかげで母星ジョル1つで歩兵4体が作れます。
- 毎ラウンド、必ず《研究》が場に出るようにする。誰も選びそうになければ自分で取る。
- 技術を開発するたびに「研究の契約」を売って経済力に換える。《研究》がプレイされる前に1回目を売っておくのが鉄則。
- 「E=レゾ・サイフォン」で、相手にも自分にも得のある取引を回す。指揮トークンが余っている相手、影響力過多の相手が狙い目です。
- 技術は「脆弱」を補うものを中心に、その時いちばん必要なものを見極めて開発する。戦闘艇・歩兵・輸送艦の改良は優先度高め。
- 旗艦は必ず生産する。征星艦は盤面を見て判断する。征星艦を研究するときは「研究の契約」を回収してから。
初心者向けアドバイス
- 「脆弱」が下げるのは戦闘判定だけ。〈爆撃〉〈宙砲〉〈対艇斉射〉は印字された数字のままです。これを勘違いすると、無駄に弱気な戦い方になってしまいます。
- 議題やアクションカードで技術開発するときも、誓約書を売るのを忘れずに!《研究》以外の開発機会も全部売り時です。
- 征星艦を研究するときは、「研究の契約」が手元にあるか必ず確認する。特別な取引をしたのでない限り、他プレイヤーに征星艦の技術を渡してはいけません。
- 第1ラウンドの歩兵不足だけは絶対に放置しない。ここでつまずくと、経済力不足でその後の「毎ラウンド2回研究」が回らなくなります。
ひとこと評価
弱さは技術で塗りつぶす!毎ラウンド2回研究の大学者
| 評価軸 | 評価 |
|---|---|
| 初心者おすすめ度 | ★★★★☆ |
| プレイの複雑さ | ★★★★★ |
| 攻撃性 | ★★★☆☆ |
| 個性的か | ★★★★☆ |
ジョル=ナー大学連合は、TIの中でも「盤面より先に頭の中で勝つ」感覚を味わえる派閥です。駒を強くして真正面からぶつかりたい人や、選択肢が多すぎると迷ってしまうという人には、少し噛み合わないかもしれません。
でも、技術ツリーを眺めながら「次はこれ、その次はこれ」と道筋を描くのが好きな人、そして交渉のテーブルで自分のカードの値段を吊り上げるのが好きな人には、これ以上ないくらいハマる派閥だと思います。全ユニットが1弱いというハンデを、知恵だけで完全に帳消しにしたときの気持ちよさは格別です。
もしこの記事で間違っている情報や、「ここはこうじゃない?」という気づきがあれば、ぜひコメントで教えてください。みなさんの知識や経験も取り入れながら、一緒により良い記事にしていきたいと思っています!







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