先週の土曜日、いつもの福岡のボードゲームカフェ「トレジャーボックス(トレボ)」で、また4人で『トワイライト・インペリウム 第4版』を遊びました。日本語卓としては今回で4度目。前回と同じく、日本語版を所有している夫婦のふたりと、僕と妻の4人です。
今回が特別だったのは、この日本語卓で初めて拡張『王たちの予言(PoK)』を入れたこと。PoKには日本語版がないので、全部のコンポーネントに訳を貼りつけての挑戦でした。しかも全員がPoKの派閥を選ぶという、なかなか思い切った初拡張です。
結果から言うと、僕が10点で勝ちました。ただ、その道のりはまっすぐではなくて──第4ラウンドの終わりに、議題「公開処刑」で全員の票を集めて吊るされ、「もうKaitoに勝ち目はないね」と見捨てられたところからの逆転でした。あれは本当に嬉しかった。
卓の概要
- 日時:12時半集合、訳の貼りつけを進めながら13時半プレイ開始、23時ごろ終了。片付けに少しお付き合いいただき、23時半ごろ退店
- 場所:福岡ボードゲームカフェ「トレジャーボックス(トレボ)」の貸切ルーム
- 参加者:4人
- 使用拡張:『王たちの予言(PoK)』(拡張の解説記事はこちら)
- 使用言語:日本語(PoK部分は自作訳を貼りつけ)
- ゲーム設定:10点マッチ、ステージ1公開目的×5、ステージ2公開目的×5、秘密目的×3(第5ラウンドの調整フェイズで決着)
使用派閥:
- Kaito ── ウルの巨人(黒)
- 妻 ── ヴイル’レイス陰謀団(赤)
- 相手夫婦のひとり ── ナズ=ロカ同盟(緑)
- 相手夫婦のひとり ── エンピリアン/至高天の民(紫)
拡張派閥の紹介記事はまだ書けていないので、派閥名は用語対訳集の当サイト訳で書いています。

全コンポーネントに訳を貼って、初めてのPoK
まず今回の主役のひとつ、翻訳の話から。
PoKには公式の日本語版がありません。そこで今回は、僕が『Twilight Imperium Digital』の日本語コミュニティ翻訳を一緒にやっている仲間が自作したPoKの翻訳ファイルを、本人の了承を得てこの卓のみんなに事前に共有しました。ゲームの持ち主がそれをA4に印刷しておいてくれて、当日は出てきたコンポーネントごとにハサミで切ってはカードスリーブに差し込む、という作業をしながらのプレイ。手が空いた人は自分の派閥シートやカードに訳を挿していく、という具合で、卓全体がちょっとした翻訳工房になっていました。

集合は12時半で、盤などを組み立ててプレイ開始できたのは13時半頃。事前にお相手の夫婦が全カードをスリーブに入れたり、派閥シートを自作のプラスチックカバーに入れてくれたりとしていました。大事にしているゲームをいつも遊ばせていただき、ありがとうございます!
そして、初拡張ということで全員がPoKの派閥を選択。僕はウルの巨人、妻はヴイル’レイス陰謀団、相手夫婦はナズ=ロカ同盟とエンピリアン。妻は6月の英語卓でPoKを経験していますが、ヴイル’レイス陰謀団を見るのは初めて。全員がほぼ同じスタートラインに立てたのも良かったと思います。
第1ラウンドでいきなり、ヴイル’レイスがメカトールへ
序盤に動いたのは妻のヴイル’レイス陰謀団でした。第1ラウンドで意外にもメカトール・レックスに入って庇護者トークンを獲得。第2ラウンドには《覇業》でメカトールの追加点も取って、あっという間に1位に踊り出ました。事前に「自分とメカトールの間に影響力6分の惑星を置きたい」とか「戦略カードは《和平》と《臨戦》を取りたい」とかかなり作戦を練っていましたが、その予習の成果がしっかり出てました!

そこから僕もメカトールを奪い返し、第4ラウンドが終わるころには僕がメカトールを持ち、議長でもある、という状態に。ただ得点は全員が6〜7点にひしめく団子状態で、どの人にも「ここからこう積めば勝てる」という筋がありました。この時点で僕は、第5ラウンドで《覇業》を取ってメカトールの点、公開目的を2つ、残っていた秘密目的を1つ……と組み合わせれば絶対に勝てると思っていました。
議決題フェイズが始まるまでは・・・。
第4ラウンドの議決フェイズ──議題「公開処刑」
第4ラウンド終わりの議決フェイズ、めくられた最初の議題は「公開処刑」でした。みんなでプレイヤーをひとり選び、選ばれた人はアクションカードを全部捨て、議長トークンを持っていれば左隣に渡すという、ほとんどいじめみたいな議題です(笑)。
経験者で、しかも議長で、メカトールも持っている。選ばれるのは、まあ僕ですよね。議題を自分で読み上げているときからもう空気ができあがっていて、みんな僕の票数を確認して、それをちょうど1票上回るように投票してくれました。もちろん妻も僕に入れました。全員笑いながら、でも「これしかないよね」という顔で。かくして僕は、見事に公開処刑されました。
議長は隣のナズ=ロカへ。《覇業》を取る目算も消えて、6点で最終ラウンドを迎えることに。どう頑張っても公開目的の2点と秘密目的の1点で9点止まりだろう、ということで、卓の中では「Kaitoはもう終わり」という扱いになりました。
でも今振り返ると、この公開処刑がこの卓を最高に面白くしたと思っています。僕が吊るされたことで、他の3人全員に「今回は自分が勝てるかも」という道が開けたんです。夜8時、9時と集中力が切れてくる時間帯だったのに、誰も諦めたくない雰囲気になった。みんなが「今回は自分が勝つ」と思って23時まで走り切れたのは、間違いなくあの議題のおかげでした。
見捨てられた僕に残された、4点目の道
第5ラウンドの計画フェイズ、僕は4番手。ところが、なんと《主導》が最後まで残っていました。この時点では自分でも勝ち目はないと思っていたのですが、《主導》は1番のカードなので、調整フェイズの得点処理が一番最初に回ってくるという利点があります。ここで取らない理由はない。半分は「他の人に渡したくない」という気持ちで取りました。みんなが残してくれたのも、僕に勝ち目がないと思っていたからでしょう。
最終ラウンドの公開目的(2点)は「軍事改革」でユニット改良技術を3つ持つものです。すでに2つ持っていたので、これは確実。秘密目的は「旗艦の誇示」、旗艦のいる星系で宙戦に勝つというもので、これも何とかなりそう。で、9点。あと1点、勝利のための4点目をどこから捻出するか、必死に考えました。
そして、見えたんです。隣のナズ=ロカが持っていたレリック「王座の破片」。持っている限り1点を得て、奪われると1点を失うレリックで、持ち主の母星系の惑星か伝説の惑星を誰かが奪ったとき、その人の手に渡ります。ナズ=ロカの母星系は決して守りが薄いわけではなかったのですが、「ここなら勝てるかもしれない」と感じました。
ここからは静かな作戦です。勝ち筋が見えてからは「いや、僕はもうダメだから」と言いながら、みんなの目がこちらに向かないようにして、自分の母星系と、自分が持っていた伝説の惑星の守りを固めました(王座の破片を奪った直後に奪い返されたら元も子もないので)。そしてメカトールにいた艦隊を、ナズ=ロカの母星系の近くまでじわじわ寄せて道を開け、ラウンド後半で一気に母星系へ。無事に王座の破片を奪い取ることができました。これが決まったときは、本当に嬉しかった。

運も味方した、3つの場面
正直、作戦だけでは届きませんでした。いくつか運に助けられた場面があります。
デュラニウム装甲。 ナズ=ロカ母星系の戦いを単純に艦隊の数で見ると、僕が連れて行けた艦隊のほうが弱かったと思います。ただ僕は「デュラニウム装甲」を開発していました。戦闘ラウンドごとに、そのラウンドで〈耐久〉を使っていない損傷済みのユニットを1つ修復できる技術です。戦闘開始時は僕のほうがヒットポイントが少なかったのですが、相手のダイスがそこまで走らなかったこともあり、毎ラウンド「1隻が〈耐久〉で受けて、もう1隻を修理する」を繰り返して、ずっと死なない戦闘にできました。
重力裂孔。 実は秘密目的「旗艦の誇示」のほうも綱渡りでした。後述しますが今回の盤は各陣地の間に惑星のない帯ができていて、僕の旗艦はずっと待機していたのに、誰も近くに来てくれない。自分から仕掛けるしかなく、旗艦を重力裂孔(通り抜ければ移動力+1、ただし出目1〜3で即破壊という特異系)に通して相手まで届ける必要がありました。ここを旗艦が無事に抜け、その先の宙戦(相手は妻でした)でも生き残って、秘密目的を得点。ダイス1つで全部が消えていた場面です。
母星系の〈宙砲〉。 そして最後の最後、ナズ=ロカが仕方なく僕の母星系を狙ってきました。ウルの巨人らしさが出たのはここくらいかもしれません。英雄の効果で〈宙砲〉を撃てるようになった母星と、周りの惑星に置いた対宙要塞の〈宙砲〉で、艦隊が入ってきた瞬間に7発くらい命中。そもそも宙戦が始まりませんでした(笑)。ウルとしては休眠体トークンを置いては回収して、という基本的な動きをしていただけで、派閥として特別に何かが刺さった感じはなかったのですが、この一撃だけは「巨人」の面目躍如でした。
惑星のない帯が生んだ、静かな銀河
今回の盤は、たまたま各プレイヤーの母星系まわりの惑星群のあいだに、惑星のない星系の帯ができる配置になりました。エンピリアンは惑星のない星系を好む派閥なので、彼は他のプレイヤーが入ってこないよう、母星系から離れた場所に何もない星系を置いていったんです。その結果、それぞれの陣地の間に一種の壁のようなものができました。
これが今回のゲームの性格をかなり決めました。旗艦が待っていても誰も来なかったのも、この壁のせいです。

そしてこの帯は、妻のヴイル’レイス陰謀団にも痛手でした。彼らは宙軍工廠をいくつも作り、PoKで加わった英雄を使って、工廠まわりにいる相手の船をまとめて捕獲するタイミングを狙っていたんです。ところが陣地のまわりに惑星のない星系が多く、そもそも他のプレイヤーが工廠に寄ってこない。結局、英雄を使ったときに範囲内にいた相手の船は1隻だけ、という状況で使わざるを得ませんでした。もともとそこまで強い英雄ではないのですが、結果があまりにも地味で、ちょっとかわいそうでした。エンピリアン自身は、英雄で盤面のフロンティアトークンをまとめて探索したり、ヴイル’レイスの母星系を取りに行ったりと忙しそうで、向かいに座っていた僕とは最後まであまり絡みがありませんでした。
初PoK卓で気づいたこと
レリックがほぼ全部出た。 エンピリアンとナズ=ロカのふたりが探索でよくレリックの欠片を引いたので、実はレリックは1個を除いて全部ゲーム中に姿を現しました。これはかなり珍しいと思います。初めてPoKを遊ぶ夫婦のふたりにとって「こんなレリックもあるんだ」と一通り見られたのは、本当に良かった。王座の破片が出ていなければ、僕の逆転もなかったわけで。
工作員を忘れる。 全員、最初は自分の工作員を使うのをよく忘れていました。工作員は各ラウンドに1回使える能力で、自分のために使ってもいいし、他のプレイヤーのために使ってもいい。今回は誰も他のプレイヤーのためには使いませんでしたが、そもそも「自分のために使わなきゃ」と覚えるまでに少し時間がかかっていました。次回はきっと、みんな工作員を交渉の材料にしてくるはずです。
夕飯と集中力。 初回の教訓として、僕と妻は毎回夕飯のパンやおやつを持って行くようにしています。今回もたくさん持って行ったのでお腹が空くことはなかったのですが、夜8時から9時ごろには全員の集中力が少し切れ始めていました。それでも走り切れたのは、前述の通り「公開処刑」のおかげ。全員に勝ち筋が残っている卓は、疲れていても諦められないんですよね。

まとめ
12時半に集まって23時半に店を出るまで、11時間。訳を貼りながらの初PoKで、全員が初めての派閥で、しかも最後まで全員に勝ち筋があった卓でした。僕は公開処刑されて見捨てられたおかげで、誰にも警戒されずに王座の破片を奪いに行けたのだと思っています。吊るされて勝つ、というのもTIらしい話です(笑)。
みんなからは「次回は12点まで遊びたい」との声が出たので、次回は公開目的をステージ1×4、ステージ2×4、秘密目的×4の12点マッチにする予定です。
もうひとつ。今回も貸切ルームで遊んでいたのですが、メインホールで遊んでいる人たちがトイレに行くついでにちょっと覗いていくことが何度かありました。僕たちはTIのコミュニティを大きくしていきたいので、次回はあえて貸切ではなく、みんなと同じ空間で遊ぶことにしました。遊んでいるところを見て「やってみたい」と言ってくれる人が現れたら嬉しいな、と期待しています。

4人・初PoK・10点マッチ。
12時半集合、23時半退店。
第4ラウンド末に公開処刑され、6点で見捨てられる。
最終ラウンド、王座の破片を奪って10点。
最終結果:Kaito(ウルの巨人)10点、妻(ヴイル’レイス陰謀団)8点、ナズ=ロカ同盟7点、エンピリアン7点。
次回は10月末の予定。メインホールでのTI、どんな反応があるか、レポートもお楽しみに。







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